ご挨拶

第131回日本解剖学会総会・全国学術集会
会頭 岡部 正隆
東京慈恵会医科大学解剖学講座
第131回日本解剖学会総会・全国学術集会を、2026年3月24日(火)から26日(木)までの3日間、東京慈恵会医科大学(東京都港区西新橋)にて開催いたします。
今回の大会テーマを「LIFE」といたしました。この言葉には、生命の誕生・進化・多様性といった生物学的な意味はもちろんのこと、未来を担う医学生や大学院生の学びと成長、教育を通じた知識と情熱の継承といった意味も含まれます。さらには、篤志献体を通じて他者の学びに貢献する人生の最終段階まで、多層的で広がりのある意味を込めています。「LIFE」という言葉は、研究者としての人生や歩みを重ね合わせて想起することもできるかもしれません。それぞれの立場や視点から見つめるLIFEが交わり、新たなつながりや気づきが生まれることを願っています。日本解剖学会は、研究領域の広がりと多様性が大きな特徴です。分子解剖学、細胞生物学、組織学、肉眼解剖学、機能形態学、生化学、生理学、行動科学など、形態学に関連する多岐にわたる研究成果が発表され、分野横断的な情報交換が行われます。研究対象も、個体からはじまり、器官、組織、細胞、細胞内小器官、ゲノムへと、マクロからミクロへと多層的に広がっており、対象とする臓器も実に様々です。また、卒前・卒後の医学教育に関する諸課題も幅広く議論されています。そのような幅広い関心をもつ研究者たちが一堂に会し、それぞれの立場から「LIFE」を見つめ直すことで、知見の交錯や領域を越えた展開が生じることを期待しております。
東京慈恵会医科大学で日本解剖学会が開催されるのは、実に67年ぶり、4度目となります。最初の開催は1908年(明治41年)の第16回大会、その後、第44回(1936年)、第64回(1959年)と続きました。そして今回、67年ぶりにこの地で皆様をお迎えできることを大変光栄に思います。学会会場のすぐ近くには、明治38年に本学が本邦医育機関として初めて解剖慰霊祭を行った芝増上寺、解体新書にゆかりのある杉田玄白の墓、近代日本の感染症研究を切り拓いた北里柴三郎が創設した伝染病研究所の跡地、JOAKのラジオ放送発祥の地である愛宕山、そして東京の象徴でもある東京タワーなど、医学、生命、情報の「つながり」を感じさせる歴史的・文化的な場所が点在しております。懇親会を開催する東京プリンスホテルも、長年人と人との出会いや語らいを育んできた場であり、「LIFE」というテーマにふさわしい交流の舞台となるのではないでしょうか。
一人ひとりの研究者が、それぞれに異なる視点と価値観をもちながら、生命を見つめている――その多様性こそが日本解剖学会の魅力であり、本学会の真髄です。多様な「LIFE」のかたちを持ち寄り、交差させ、未来へとつなげていく――そんな集まりを、皆さまと共につくり上げていけることを心より祈念申し上げます。大会の成功に向けて、どうかご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
会頭 東京慈恵会医科大学 岡部正隆