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 第38回日本重症心身障害学会学術集会を、東京で開催させていただくこととなりました。
 医療は、「治す」だけでなく「支える」という役割を持っています。とくに、障害や慢性疾患・難治性疾患のある方々への医療は、従来の「治療」や「予防」というイメージでの医療から発展し、「支える」という役割と内容を大きく有してきています。最近は「『医学モデル』から『社会モデル』へ」というスローガンが唱えられますが、この言葉で否定的に語られる医学医療の限定的イメージを転換し、「支える医療」としての医療の側面の重要性を関係者が共有し、その内容と制度を発展させていくことが必要です。
 重症心身障害児者への医療は、原因の究明、予防、基礎疾患の治療など「治す」ことへのかかわりとともに、「支える医療」という面がとくに大きなものです。その内容は、呼吸障害や嚥下障害などに対しての、病態把握を基礎としながら姿勢管理を中心とした様々な日常的な手だてと手術も含む治療が組み合わされるようになり、以前より深まりを見せています。また、医療的かかわりの場は、病院、入所施設だけでなく、家庭、学校、通所など地域生活の場にも大きく広がっています。これにより、「いのち」だけでなく、快適で安定した生活を支え、さらに、広がりのある生活を支えるものとなってきています。その中で、いくつかの大きな課題も生じてきています。
 このような意味から、今回の学術集会のテーマを、「『支える医療』としての重症心身障害児者医療-その広がりと深まり」としました。
 世界も日本も厳しい社会情勢になってきている中で、日本における重症心身障害児者の医療と福祉の歴史と意味を考えながら、原点をあらためて確認したいという願いをこめて、私たちの大先達のお一人であられる岡田喜篤先生に、特別講演を御願いしました。
 昨年3月の大災害を仙台で被災し、厳しい状況の中で在宅の重症児の支援に奔走された田中総一郎先生にも、特別講演を御願いしました。今後も大災害の発生が想定されている中で、とくに在宅の重症心身障害児者の方たちにとって、経験した災害に際して支援の在り方も含めて何が大きな問題だったのか、そして今後、何を考え何を備えておくべきか、お話いただきます。
 病理学的研究に携わりかつ臨床にも詳しい林雅晴先生に、病理所見から見た重症児者の病態の理解について教育講演を御願いしました。また、長谷川久弥先生は昨年の学術集会のシンポジウムの演者のお一人でしたが、もっと詳しく聴きたいという会員が多数だったと思います。今回、教育講演を御願いし、新生児期から成長後の時期まで非常に多数のお子さんについて内視鏡を中心に検査をされ治療されている経験から、お話いただきます。
 1日目のシンポジウムは、呼吸器療法をテーマとしました。重症心身障害児者への非侵襲的呼吸器療法の急性期と慢性期の使用が広がって来ている中で、技術的な問題への工夫、ケアのあり方の問題などが共有できるように、また、パーカッションベンチレーターの適正使用など、アンケート調査の報告も含め、検討と共通認識の場になるようにしたいと考えています。
 学校や地域施設などでの「医療的ケア」の問題は、支える医療としての重症心身障害児者医療の広がりの中で必然的に出て来た問題です。重症心身障害を不治の疾患として初めから「緩和ケア」の対象として考えるというような基本的立場ではなく、医療的支援をしっかり行うことによって、重症な障害があっても前向きな広がりのある生活ができるように支えていく、また、家族の過大な負担なしに学校にも安定して通えるように支えていく、社会参加を支えていく、そのような基本的立場とその具体的なかかわりの一つが「医療的ケア」への私たちのかかわりです。この4月から法制度が変更になる時期に当たって、この医療的ケアの基本的課題と具体的課題を、行政からの参加も求めながら、2日目のシンポジウムで考えていきたいと思います。
 プログラムは、1日目はおもに医学的医療技術的なテーマとし、2日目は、おもに基本的問題と社会的テーマを設定しました。幅広く多くの方に参加いただけるよう2日目は土曜日になるように日程を組み、また2日目のみ参加の場合の費用について配慮しました。ポスター発表の方が多くなる可能性がありますが、ポスター発表の展示は入れ替えなしで2日間継続展示します。
 多くの方々の参加を、お待ちします。