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【プログラム】

 

 

 

1.教育研修講演
①「増加する先天性股関節脱臼検診見逃し例に対しどのように対応したらよいであろうか?」

  (ランチョンセミナー) 水野記念病院 院長 鈴木茂夫
②「ペルテス病との30年‐今までに何ができたか?」

  千葉こどもとおとなの整形外科 院長 亀ヶ谷真琴先生

2.主題・パネルディスカッション(一部演者指定)

今回取り上げました3つの主題・パネルの趣旨について、簡単に御説明させて頂きます。

御発表時の参考にして頂ければ幸いです。 ※こちらからもご確認(PDF)できます。

 

(1)これからの先天股脱検診のあり方
(2)臼蓋形成不全(遺残性亜脱臼を含む)の診断と治療 (幼児期 ~思春期)
(3)青壮年期以降の股関節疾患の治療に際し小児期の治療に感ずること-成人股関節医の立場から-

 

「臼蓋形成不全(遺残性亜脱臼を含む)の診断と治療」に関するアンケート調査結果を掲載しました。

 

(1)これからの先天股脱検診のあり方
現在、全乳児を対象にした『先天性股関節脱臼検診』は、松戸市と仙台市、新潟市、など一部の市町村でのみ行われておりますが、多くは、地域の小児科の先生方のご厚意で乳児3-4ヶ月検診の中で、母子手帳に記載されている、股関節開排制限の1項目を頼りに行われているのが実状ではないかと思っております。一方、ここ数年の小児の整形外科学会では、股関節脱臼の診断遅延例(見逃し例?)の増加が大きな問題の1つになってきております。場合によっては訴訟に発展する可能性も危惧されています。その背景には、少子化や股おむつの普及による股関節脱臼の減少(約10分の1)にて、脱臼の症例を実際に経験する機会が少なくなっていること、脱臼に対して一般整形外科医の関心が著しく低下していること、などが考えられますが、そもそも、開排制限やクリックサインによる診断は、我々小児を専門とする整形外科医にとっても、非常に難しい場合があり、開排制限やクリックがほとんど見られない脱臼の報告もあります。本邦は(特に以前は)世界の中でも脱臼の多発国であり、その結果、過去に多くの素晴らしい臨床研究がなされており、臨床症状(クリックサイン、開排制限、大腿や臀部のしわ、Allis signなど)以外にも、リスクファクター(女児、家族歴、骨盤位、冬生まれ、など)がある程度わかっており、臨床症状とそれらを組み合わせることで、より精度の高い検診(亜脱臼や臼蓋形成不全なども含めて)が、できるものと考えています。松戸や仙台などでは既に、リスクファクターを加味した検診が行われていますが、検診体制が確立していない、他の地域でも、これらの手法を取り入れ、例えば、項目を別紙にて母子手帳と一緒に配布して頂くことなどにより、検診の時の参考にして頂き、異常が疑われる場合は、地域の先天股脱の診断が可能な整形外科にご紹介いただき、最終的には画像にて、診断を確定する、といった体制が構築できれば、小児科と整形外科医との連携も取れ、非常に良いのではないかと思っております。今回のパネルでは、股関節検診を実際に担当されている松戸と仙台の小児科の先生にも御参加頂き、事前のアンケート調査などをもとに、先天性股関節脱臼検診について、どのように思っているか、また今後どのようにしたら良いのかなど、整形外科医と一緒に討論し、何らかの方向性が打ち出せればと思っております。

(参考)
【松戸市の乳児股関節検診について】
検診項目は、  
1.性別(女児)   1点
2.家族歴  1点
3.分娩時胎位(骨盤位) 1点
4.大腿皮溝の明らかな非対称 1点
5.開排制限 2点
6.Click Sign 3点
以上6項目で、点数は2点以上で、要精査(XP)となっています。

 例えば、女児で家族歴があれば1+1で2点となり、要精査となります。最近では、大体、15%程度にX線撮影がされており、約6%が異常(脱臼・亜脱臼・臼蓋形成不全)と判断されています。松戸市の検診は1971年から始まりました。当初は全例にX線撮影をしていましたが、被曝の問題などから、1973年から選択的撮影方式になりました。2003年に、制度を一部見直し、検診項目の周知徹底をはかり、検診券をわかりやすく改良し、さらに、1次検診(小児科医を主としたスクリーニング)と2次検診(整形外科医による精査)に分け、現在に至っています。

(1次と2次検診の市役所控え・1次と2次検診の医療機関控え・本人控えの計5枚つづりになっています)

(2)臼蓋形成不全(遺残性亜脱臼を含む)の診断と治療 (幼児期 ~思春期)
本邦では変形性股関節症の多くが臼蓋形成不全に起因していると考えられますが、小児期には症状を出すことが少ないことから、積極的な治療に関しては様々な意見があります。痛みが出てから早期に対処するという考えは、否定するものではありませんが、変形が起こる前の幼児期の手術は、適応さえ明確になれば、侵襲も比較的少なく、臼蓋の成長を助けて非常に良い改善が得られるのではないかと思っております。症状のない小児に、画像所見のみで、将来を予測し、手術をするのは、リスクや合併症などを考えると、なかなか大変なのも確かですが、我々小児を専門とする整形外科医はそれらの問題に対してしっかりと向き合う必要があると思います。そこで、幼児期の手術の適応など、今回の研究会の中で少しでも明確にできればと考えております。
もし、幼児期に補正手術をせずに、思春期以降に症状を出した症例や、幼児期に手術が必要と考えられましたが、予想に反し、自然経過で、非常に良く改善した症例などがあれば、それらも具体的に御呈示頂ければ、幼児期の臼蓋形成不全の治療適応を決める上で大変参考になるのではと考えています。

【御発表時の留意点】
1.X線画像の指標として、CE角や臼蓋角が使われますが、臼蓋の外縁(E点)をどこでとるかで、約5度から10度程度の違いが生じてくると思います。大きく分けて、①臼蓋の硬化像の外側(refined CE角:Ogata et al. J Bone Joint Surg, 1990;72-B,190-196 下図を参照)、②X線で見える全ての骨性臼蓋の最外側、③として①と②の中間点でとる場合、の3つが主に考えられます。御発表に際し、初めにどこの部分で計測したかを明示して頂ければ幸いです。

(Ogata et al. J Bone Joint Surg, 1990;72-B,190-196より)

2.最終成績を評価する場合、小児の領域ではSeverin分類がよく用いられますが、14歳未満では、CE角が異なりますので、できればCE角の値も併記して頂ければ幸いです。

3.今回は、日本人に多い、臼蓋側(形成不全)の影響による変形性股関節症を予防(または予測)するという観点から、乳児期の治療により、明らかな骨頭変形(KalamchiⅢ・Ⅳ型)を生じたものは、除外、または、分けて御発表頂ければ幸いです。

(3)青壮年期以降の股関節疾患の治療に際し小児期の治療に感ずること
-成人股関節医の立場から-

日本小児股関節研究会では、新生児から幼小児期にかけての股関節疾患を主な検討課題として討議して参りました。
先天股脱に起因する臼蓋形成不全は、思春期から青壮年期、さらに老年にいたるまで、いわば一生に渡ってその患者さんの大きな問題になり得る疾患であります。
一方、その治療を担当する医師は、施設の問題や時間的制約もあって、小児期を担当する医師と青壮年期以降を担当する医師とに分かれている事が多いのが実情と思われます。
また、小児期に遺残する形成不全に対して、積極的に補正手術をした方が良いとの意見と、可能ならば手術は回避して、骨成熟完了後に必要に応じて補正手術を施行しても十分ではないかとの意見もあり、本学会でも明確なコンセンサスは得られていないのが実情かと存じます。
そこで、今回は青壮年期以降の股関節疾患を担当している先生方に、骨切り術からTHAを含めた成人股関節治療の現状をご講演いただき、その中から小児期の治療への要望などを述べていただければ、本学会にとりまして誠に有益ではないかと考えている次第です。

3.特別企画(ビデオセッション):「ソルター手術のコツ」(演者指定)

本邦では変形性股関節症の多くが臼蓋形成不全に起因しており、小児期に発見できれば、ソルター手術は、侵襲も比較的少なく、臼蓋の成長を助け、ほぼ正常な股関節へと導ける可能性のある、素晴らしい手術ではないかと思っております。しかし、本邦ではソルター手術を施行している施設は、それほど多くなく、その原因の一つに、手技的にうまくできなかった、という苦い経験もあるようです。そこで、経験豊富な先生方に、そのコツをビデオでご紹介頂ければ、非常に有用ではないかと考え、企画させて頂きました。

4.その他:症例検討会、一般演題、など

 
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