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~ 第23回日本病態生理学会開催にあたって ~

東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科
吉村道博

 第23回日本病態生理学会の開催にあたってご挨拶申し上げます。
 今回の学会のテーマは、「臓器連関」ということにさせて頂きました。私は、心臓病の臨床医でありますが、思考経路は内分泌学的な発想であります。心臓は、‘動く’ということだけに焦点があてられがちでありますが、実は立派な内分泌臓器であり、自分(心臓)の状態のみならず他の臓器の状態を繊細に感知し、それに見事に適応しております。例えば、ナトリウム利尿ペプチドの分泌がそうであります。研究を進めれば進めるほど、想像よりもはるかに細かく制御されていることに気づき、驚いております。
 最近、他(多)臓器連関という言葉を時に耳にします。医学用語としてどこまで定着しているかは分かりませんし、英訳もはっきりとしたものはありません。もし、英訳を試みると、「他」とするか「多」とするかで若干変わりますが、取り敢えずは、1:1の臓器連関を考えるのが基本でしょうから、Inter-organCommunicationがもっとも相応しいと思います。例えば、心臓の臓器連関研究となると、心臓と脳、心臓と腎臓、心臓と副腎、心臓と甲状腺などと思います。この辺りまではよくお分かりと思いますが、心臓と骨、心臓と耳、心臓と皮膚、心臓と腸・・・などの組み合わせも可能であり、実際に研究を行っている研究者が存在します。他には、心臓と癌の連関も大事でしょう。
 一つの臓器で、その専門性を追い続けることは今後とも大事でありますが、「臓器連関」の名のもとに、他の臓器を意識した研究も今後伸びてくると推察されます。一般に若い医学研究者や医師はどうしても自分の専門性だけを追い求める傾向が強く、他の分野は関係がないとしがちであります。しかし、自らの研究において、時に厚い壁にぶつかる事があると思いますが、その際、意外なところ(他の臓器の研究など)に新しいアイディアを見出すことがしばしばあるのです。実は、私の心臓研究の場合も腎臓や副腎の研究に多くのヒントを頂きました。
 病態生理学という学問は、基礎と臨床に分けず、幅広く議論できる学問分野であり、そこでは、一分野では想像さえしない貴重なご意見を他分野の先生方から頂くことが可能でしょう。多くの方々に本学会に参加して頂き、そして、新しい何かの発見をしてもらいたいと思います。もしそうなれば、学会長としてこの上ない喜びでございます。今回の学会場となります東京慈恵会医科大学にて皆さんのご参集を心よりお待ち申し上げております。

 

 

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