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 第24回日本臨床微生物学会総会をお世話することになりました。本学会は臨床にあまり役立っていない従来の微生物検査を見直し、もっと感染症診療に貢献できる検査法に変革することを一つの目的として設立されました。そのためには医師と検査技師の協力を深め、微生物検査を迅速化するとともに、患者情報を基本に置いた新しい検査法を構築する必要があります。 しかし本学会設立から既に24年が経過しましたが、残念ながらこの作業は殆ど進展していません。
 しかしこの間に感染症は大きく変貌しました。新型インフルエンザなど新しい病原体が次々と登場し、抗菌薬耐性菌の多様化と世界的流行は大きな社会的脅威となっています。検査室に求められる検査内容も大きく変化しており、新しい病原体に対する検査法の開発、詳細な菌種の同定法、新しい耐性菌の検出法、病院感染菌の解析、などが検査室の課題となっています。検査技術の分野でも大きな進歩がみられ、既に遺伝子検査法は多くの分野で利用されており、質量分析法による細菌同定も今後の発展が期待されます。
 しかし厳しい日本の経済状況を反映して、病院経営の合理化から病院検査室は減少し続けており、微生物検査を検査センターに外注する病院が増えています。この現象が続けば日本の感染症検査の質が大きく低下する危険があります。
 このような現況を踏まえて第24回本学会総会では「多剤耐性菌への挑戦」をテーマとしました。現在は日本は世界でも例外的に耐性菌が少ない国ですが、MBLsやESBLs産生菌が日本でも増加する可能性は高く、将来の多剤耐性菌の流行に備えて検査法と治療法を準備しておく必要があります。このため特別講演とシンポジウムⅠ~Ⅲでは多剤耐性菌について、「世界の流行状況」、「検出法」、「治療法」、を取り上げ、その現状と将来への対応を展望して頂きました。また一般演題でも「耐性菌の治療法」を要望演題としました。さらに感染症の知識を深めるため、教育講演では「感染症重症化のメカニズム」についての講演をお願いしました。シンポジウムⅣでは臨床的意義が難解な「真菌の感受性検査と臨床への役割」を取り上げました。さらに従来の微生物検査を見直すため、臨床に役立たない検査法を整理し、もっと実施すべき臨床に役立つ検査法を普及させるため、シンポジウムⅤでは「やるべき検査・止めるべき検査」を取り上げました。またベーシックレクチャーでも「定説」となっている検査法の見直しに挑戦しました。なお特に見直しが必要な検査法として塗抹検査を取り上げました。塗抹検査は迅速性に優れ、多くの情報が得られる検査法であることから、将来の微生物検査の中核となるべき検査です。このため一般演題でも「塗抹検査の活用法」を要望演題としました。
 以上、第24回本学会総会の企画についてご紹介しました。多くの会員の皆様方が本総会に参加され、そこで優れた研究成果が数多く発表され、活発な討論がもたれることを期待します。