会長挨拶
第3回日本石綿・中皮腫学会学術集会 会長
木島 貴志
兵庫医科大学 呼吸器・血液内科学 主任教授
まず初めに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ご尽力されている多くの医療者の皆様に心より敬意を表します。さて、この度、第3回日本石綿・中皮腫学会学術集会および市民公開講座を2022年9月17日(土)、18日(日)に兵庫医科大学において開催させていただくこととなりました。
本学会は「石綿・中皮腫研究会」と「日本中皮腫研究機構」という2つの伝統ある学術団体が統合する形で2019年2月に発足し、今回が第3回目の学術集会となります。石綿関連疾患と中皮腫は、日本の戦後復興を支えた高度成長期になくてはならない「奇蹟の鉱物」と言われた石綿に起因する、いわば産業がもたらした疾患であり、健康被害を受けられたたくさんの患者さんが今も苦しんでおられ、希少疾患とはいえ新規患者さんは後を絶えません。特に今回開催させていただく当地は、最も患者さんが多い地域として国内外に知られており、患者さんご自身からの切実なお声を日常的に耳にしております。
本学会は、石綿による慢性炎症を中心とした疾患の発症機序や病態を明らかにし、遺伝子検査や病理形態検査を駆使した早期診断法および新規治療法を開発することで、患者さんや社会に少しでも貢献していきたいという明確な目的をもって、活動しております。
この数年、疫学研究、基礎研究、病理・遺伝子診断の進歩、新規治療法の導入など、確実にその診療は進歩しております。とくに、昨年実臨床に導入されたニボルマブとイピリムマブの併用療法は、胸膜中皮腫患者さんに明るい希望をもたらしています。
年1度の学術集会は、最新の知見を参加者全員で共有し、次の1年、いや数年で、何をなすべきかを確認し、明日からの診療や研究のヒントを得る意味でも、重要な位置づけと考えております。また、市民公開講座でも、患者さんやご家族をはじめ、一般市民の方々にも有意義な情報を提供したいと考えております。
開催形式としては、現時点では現地とWEBのハイブリッド方式を考えていますが、コロナの状況次第で完全WEBになるかもしれません。臨場感には欠けるとはいえ、WEB開催にもかなり慣れてきましたので、スムーズかつ熱気あふれる学術集会運営ができるよう心がけて参ります。参加者の皆様にとって有意義な会になりますよう準備を進めて参りますので、どうぞ奮ってご参加いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。