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 日本在宅医学会は、在宅医療を評価し、展望する在宅医学を確立し、在宅患者の“生活の質”の向上を目指し設立されました。本年で設立13年を迎えましたが、その間実践医療のみならず調査研究や患者教育、生活指導を通じて社会に還元して参りました。
また日本在宅ケア学会は日本在宅ケアの学術的発展と教育・普及を図り、人々の健康と福祉に貢献することを目的として設立されております。
 在宅医療・日本在宅ケアの対象となる患者さんは日本社会の高齢化とともに増加しておりますが、平成23年3 月11 日14時46分に東日本を襲った大震災で現地ではまさに最大の課題となっております。もともと地域社会の高齢化がすすみ医療デバイドの格差も顕著であった東北地方では、被災により在宅患者のみならず必死にそれを支えてきた医療システムがなすすべもなく崩壊しました。日本在宅医学会・日本在宅ケア学会でも多くの会員が被災し、繰り返し報道される映像による心の被災を受けた方は全国に広がっております。
 本年のテーマは<復興>です。いまだ解決のめどがたたない原発事故は、天災のみならず人災も誰の身にもおこりうることを戦後総括がなく平和に安住していた我々日本人に再認識させるきっかけとなりました。3.11 から繰り返される被災地での環境の悪化やそれにたいしての無策は報道に垣間見ることができますが、一方で電話回線がダウンした中で軍事用に開発されたインターネット、福島原発管理棟の孤軍奮闘、東京都消防局レスキュー隊の放水活動、軍隊と定義されていない自衛隊の救助活動、さらにはcommunityの崩壊をつなぎとめ、裏方として黙々と雑務をこなした無名のボランティアの活動は、希望を信じさせるものでした。日本の復興のためにはショートカットはなく、粛々と正しい情報収集、解釈、判断、対応を継続的に各々(中核病院、病院、医院、薬局、介護施設、在宅医、保健師)がそれぞれの場で取り組んでいくことが第一歩である事をわれわれは今実感しております。最近のデータでは宮城を除く東北地方では医師一人あたりの後期高齢者死亡数(必要とされる医療供給量の指標とされる)が2010年の時点ですでに20人以上に達しており、医療供給不足となっていますが、今回の震災後はこの状況さらに悪化するものと思われます。
 本学会では初めての試みとして日本在宅医学会・日本在宅ケア学会の合同開催といたします。被災地域のみならず全ての医療従事者が経験した3.11後の 1 年間を振り返り在宅医療・ 在宅ケア改善のための議論の場を提供し、歴史に残すことができればと考えております。将来の日本の高齢者医療を含め待ったなしの財政状態も鑑み、在宅医療・ケアーの立場から解決の手がかりを示すことができるのではと思っております。

本学術集会に特に期待しているのは、
 ・東北以外の心情的被災地での在宅診療支援の変化
 ・復興に向けた在宅医療の検証 情報伝達、麻薬管理、医薬品、物流支援、人的支援、人口呼吸管理と停電、
  食事栄養管理、感染対策、PTSDなど
 ・地震国日本での今後の在宅医療災害マネージメント、チーム医療
 ・在宅医療の質の向上のための方策、
 ・パーキンソン病や多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病患者の在宅マネージメント
 ・病院連携 医療介護ネットワークとの連携、
 ・新医療情報システムの利用 情報開示と共有化・標準化、プライバシー問題解決、
 ・マンパワーの確保の方策 
 ・医療者のQOL(quality of life)の維持、
 ・合併症の治療 糖尿病、腎障害、呼吸障害、ペインコントロール
 ・在宅での死の倫理、在宅死と剖検・終末医療 
 ・患者、家族、介護者の心のケア
 ・医療経営

でございます。
参加の皆様のご協力を得て、在宅医療・ケアの質を向上し、患者、家族、
ひいては日本国民の幸福に少しでもお役にたつことができれば幸いです。