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 第44回日本重症心身障害学会学術集会を、2年後にオリンピックを控えた東京で開催させていただきます。今回のテーマは「高度医療と療育-いのちとくらしの現在から未来へ」とさせていただきました。近年障害が重度化し、施設でも在宅でも多くの医療的な支援を必要とする重症心身障害児(者)が増えております。この変化にあわせ医療関係者のみならず、重症心身障害児(者)を取り巻く家族や福祉担当者・教育者なども、それぞれの場において、医療的な対応が必要とされてきています。特に、人工呼吸管理などは院内だけでなく在宅で日常的に使用されるようになり、様々な場面で高度な医療が常に必要となっています。また医療の進歩に伴い、新しい治療法が現場に導入され、ケアの方法も変化してきています。このような医療の進歩に対応し、まずはいのちを守っていくことが求められますが、それだけでなく暮らしを保障していくために、どのような療育が必要とされているのでしょうか。重度化に対応する専門職種の養成、多職種連携、重度化の予防、地域との連携、意思決定支援、トランジションの問題、高齢化への対応など、課題はたくさんあります。この学術集会をとおして、皆様と一緒にこのような課題を共有し、現状や対応などを論じることができれば幸いです。
 今回の特別講演では、動物とヒトとの比較認知科学の権威でいらっしゃいます慶應義塾大学名誉教授の渡辺先生に「不公平を嫌うのは人間だけか-動物にもある共感と嫉妬-」というテーマでお話をいただきます。講演の内容としては、「人間は公平を求めますが、この起源は古く、狩猟採集民族も公平を強く求めます。ヒト以外の動物も不公平を嫌うのでしょうか?この講演では公平性の進化を考えてみます」というご紹介をいただいております。重症心身障害では、意思表示を明確にできることが少なく、どのようにしてその方の意思や、希望をとらえていくのかが一つの大きな課題です。今回のお話から重症心身障害を考えていくヒントをいただけるのではと期待しております。シンポジウム 1 では座長にこの分野の第一人者である八雲病院の石川先生をお迎えし、全国の療育センターや、在宅で増加している人工呼吸管理を必要とする重症心身障害児(者)の現状や問題点、対策などにつき、先進的に取り組んでいる各現場の方からお話を伺い討論できればと思います。シンポジウム 2 では、看護職の専門性にスポットをあてて、専門看護師の現状と現場での取り組みなどについて討論していただきます。医療の進歩にあわせ、看護の役割の重要性も増してきており、それぞれの領域での専門性を生かして活躍されています。あらためてそれぞれのお立場からのお話を伺うことは興味深いと思います。
 教育講演 1 ではソレイユ川崎の須貝先生から「新規抗てんかん薬の適応」について、2 では東京学芸大学の小池敏英教授に「コミュニケーション支援」について、3 では日本看護協会会長の福井トシ子先生に、「地域包括ケアシステムといのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」についてそれぞれお話いただきます。
 また今回、明日からの療育にすぐに生かせる知識を学ぶ場として教育セミナーを企画しました。瀬川記念小児神経学クリニック福水先生に「睡眠障害」、ムカイ口腔機能研究所向井先生に「嚥下障害」、東京小児療育病院 PT の染谷先生に「ポスチュアリング」、東京医科歯科大学の酒井先生に「骨粗鬆症」についてそれぞれ講演していただきます。
 最後に、公開講座として、「これからの治療・ケアに関する話し合い~アドバンス・ケア・プランニング~について考える」というテーマで、国立成育医療研究センターの余谷先生にお話を伺い、心身障害児総合医療療育センター北住先生、さいわいこどもクリニック雨宮先生に指定発言をお願いしました。現在いろいろな分野で注目されているテーマであり、また意思決定支援とも深くかかわりのあるテーマを皆で考える機会にしたいと思います。
 本学会では、重症心身障害に関わる多職種の方たちが、職種の垣根を越えて、自由に討論できるのが、大きな特色といえます。一般演題は、プログラム委員会の審議により口演 134 題、ポスター 164 題といたしました。医療・療育関係者だけでなく、行政や、地域での福祉に貢献しておられる方々にもご参加いただいています。重症心身障害児(者)を支えるすべての方々とともに、医療と療育の現在とこれからの未来について意見交換をしたいと考えております。
 学会のあいまをぬって、また学会終了後には、日夜、様々な表情をみせる東京を存分にお楽しみください。皆様の御参加を心よりお待ちしております。
 
第44回日本重症心身障害学会学術集会
会長 岩崎 裕治
(東京都立東部療育センター 副院長)

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