ご挨拶

 この度、第28回日本骨形態計測学会を担当させて頂くことを大変光栄に存じます。今回は2008年7月25日(金曜日)から27日(日曜日)までの3日間にわたり"骨の形と機能に対する分子的アプローチの最前線"をメインテーマとして、東京四谷のシェーンバッハ・サボーにおいて開催されます。

 骨のイメージングならびに形態計測学の研究は、近年の骨粗鬆症をはじめとする疾患の診断治療ならびにその基盤にある分子の機能の解析のうえからも益々重要な領域となっております。特に分子レベルで疾患の背景の解明が進みつつある現代において、基礎の研究とこれを臨床の治療法の発展に結びつける両面からのアプローチを繋ぐものとして形態計測およびイメージングの研究は、その中核となっており、その意味で、本年は分子生命科学と臨床医学の接点としての形態学研究が本学会の中心的なテーマとなっております。従いまして、基礎医学ならびに臨床医学のそれぞれの先端の研究者の形態学をキーワードとした先端的研究の発表や討論の場となることを目指しております。

 シンポジウムでは"骨の形と機能への疾患分子的アプローチ"ならびに"骨質と骨疾患診断治療の最前線"をテーマとし、それぞれのエキスパートの先生方に最新の研究成果を発表して頂くこととなっております。特別講演におきましては、基礎の観点から小澤英浩先生に、画像診断の先端領域の研究の観点から伊東昌子先生、そして臨床における骨形態計測学の立場から中村利孝先生にご講演を賜ることとなり、それぞれの先生方から素晴らしいお話が伺えるものと存じます。

 今回、最近の研究のトピックスとして2つのミニシンポジウムをお願い致しました。骨質のミニシンポジウムとして斉藤充先生、中野貴由先生、東藤正浩先生に"骨質因子の相互作用とアパタイトならびに基質タンパク"についてご発表頂き、また骨応力のミニシンポジウムでは"画像データを用いた骨の力学的評価の現状と展望"として大西五三男先生、高野直樹先生にご講演を頂く予定です。これに加え、骨粗鬆症をはじめとする、女性に関わる骨疾患の問題が今後も大きくなることを踏まえ、女性と骨疾患のフォーラムを太田博明先生にご企画頂き、吉村典子先生、田中郁子先生、尾上佳子先生にそれぞれの立場からのご発表を頂くことになっております。

 今回の骨形態計測学会におきましては、現代のイメージングの研究の急速な発達について、その最新情報のアップデートの為の企画を網塚憲生先生にお願いし、先端骨形態チュートリアルとして開催されます。この講演では、網塚先生の他、星和夫先生、上岡寛先生、伊藤明美先生に"最新のイメージングトップ研究のトピックスとQ&A"として若手ならびにシニアを含めた本領域の先生方に有益なご講演を賜る予定です。またセミナーとしてはRobert Recker先生、杉本利嗣先生、Brendan Boyce先生、池田恭治先生、高柳広先生、Kenneth G. Faulkner先生に先端的な臨床ならびに基礎研究のご講演を行って頂くこととなっております。

 本学会のプラグラムの作成および準備にあたりましては、理事長はじめ理事の先生方に多々ご指導頂き、ここに厚く御礼を申し上げます。皆様にとって2008年の骨形態計測学会が臨床ならびに研究の上でさらなる発展に向けた意義のある会となることを期待しております。

                                                    第28回日本骨形態計測学会                                                                   会長 野田 政樹
                      (東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教授 )