第36回日本精神科診断学会 抄録集
 

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特 別 講 演
  特別講演を依頼していたブロキントン教授は、体調不良のため、来日不可能となりました。そのため、特別講演は行わないこととなりました。ご了承ください。
会 長 講 演
個の診断学から関係性の診断学へ
  座長: 高橋 真理(順天堂大学大学院医療看護学研究科ウィメンズヘルス看護学分野)
  演者: 北村 俊則
(北村メンタルヘルス研究所所長・こころの診療科 きたむら醫院院長・北村メンタルヘルス学術振興財団代表理事)
教 育 講 演
すぐにわかる・明日から使える精神科診断学のための因子分析:探索的因子分析・確認的因子分析・名義尺度の因子分析
  座長: 黒木 俊秀(九州大学人間環境学研究院人間科学部門)
  演者: 北村 俊則
(北村メンタルヘルス研究所所長・こころの診療科 きたむら醫院院長・北村メンタルヘルス学術振興財団代表理事)
     
     
シンポジウム1:胎児・新生児へのボンディング障害・虐待は精神疾患か?
《ねらい》親にとって生まれたばかりの子どもや、まだ胎内にいる胎児は、他に見られないユニークな存在の重要他者です。親子の関係性とその障害はたいへん重要な課題です。他の人との関係に問題はなくとも、親子の関係に特化した障害も存在します。これまで親と児の関係性の心理は、主として児から親へのアタッチメントに焦点が当てられていました。このシンポジウムでは、親から児に向かうボンディングとその障害、そしてその延長線上にある児童(胎児)虐待に注目します。
  座長: 鈴木 利人(順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学分野)
片岡 弥恵子(聖路加国際大学看護学部子どもと家族の看護領域)
  演者: 山下 洋(九州大学病院子どものこころの心療部)
産後のボンディングの概念と測定方法:MIBS
    金子 一史(名古屋大学心の発達支援研究実践センター)
妊娠期間中と産後のボンディング:PBQ
    中村 由嘉子(名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野)
ボンディングの規定要因
    大橋 優紀子(文京学院大学保健医療技術学部看護学科)
産後のボンディング障害と児童虐待
     
シンポジウム2:周産期医療における多職種専門家の間で診断は共有できるか?
《ねらい》それまでに大きな流れになっていた多職種治療チームに資するというのが、DSM-III 作成目的のひとつでした。この思想はいまだ十分に日本に導入されているとは思えません(精神科診断は精神科医の「専売特許」)。このシンポジウムは主として看護職者が現に行っている精神科診断について焦点を当てます。また地域保健活動で頻用されているさまざまなスクリーニング用紙は、事前に psychometric properties の確認が必要ですが、実際にはそれを無視して使われる傾向があります。周産期でよく用いられているエジンバラ産後うつ病評価尺度の因子構造、頻回使用の場合の不変性、区分点の再吟味を行います。
  座長: 岡野 禎治(三重大学保健管理センター・大学院)
岡島 美朗(自治医科大学附属さいたま医療センター精神科)
  演者: 久保田 智香(名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野)
エジンバラ産後うつ病評価尺度 (EPDS) の因子構造と因子不変性
    小野 義久(埼玉医科大学総合医療センター周産母子センター)
大うつ病発見のための閾値設定
    小澤 千恵(埼玉医科大学総合医療センター周産母子センター)
看護職者に対する診断教育の効果
     
シンポジウム3:周産期の精神疾患は産後うつ病だけなのか?
《ねらい》周産期精神疾患というと産後うつ病(postnatal depression: PND)が思い出されます。事実、これまでの PND 研究論文数は群を抜いて多いものです。しかし、周産期にはこれ以外にも様々な心理的問題が存在します。ここには、流産、分娩恐怖、配偶者間暴力、親の有するアタッチメントなど、様々心理行動状態が含まれます。多様な現象に共通するのは関係性の問題だと考えられます。このシンポジウムでは関係性の視点からこうしたトピックに光を当てたいと思います。
  座長: 根本 清貴(筑波大学医学医療系臨床医学領域精神医学)
佐藤 喜根子(東北大学医学部保健学科看護学専攻周産期看護学分野)
  演者: 中野 有美(椙山女学園大学人間関係学部心理学科)
習慣性流産
    竹形 みずき(東京大学大学院母性看護学・助産学分野)
分娩恐怖
    キタ 幸子(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻家族看護学)
Intimate partner violence (IPV)
    池田 真理(東京大学大学院医学系研究科看護管理学分野)
成人のアタッチメントとその障害
シンポジウム4:周産期精神障害のアセスメントと心理援助効果
《ねらい》周産期精神疾患のアセスメントの目的は当然に治療・支援に資することです。症状や診断のアセスメントからどのように援助方針を立てるのかは重要な課題です。このシンポジウムでは周産期のメンタルヘルス課題について、症状評価を用いて介入有効性の判定を行うじれを提供し、今後の研究の方向性を検討します。特に、使用した尺度や診断のツールについて、たとえばそれを採用した理由、その信頼性・妥当性などについて詳しくご検討いただきたく思います。
  座長: 海老根 真由美(白金高輪海老根ウィメンズクリニック)
安藤 智子(筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻カウンセリングコース)
  演者: 玉木 敦子(神戸女子大学看護学部)産後うつ病の治療
    名西 恵子(東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室)
母乳育児自己効力感不全の予防
    新井 陽子(北里大学看護学部生涯発達看護学 母性看護・助産領域)
産後うつ病の予防


日程表:2016年8月5日 金曜日
    大会場
  8:30 受付開始
  9:30 開会
  9:40-11:50 シンポジウム1
胎児・新生児へのボンディング障害・虐待は精神疾患か?
  12:00-13:15 理事会
  13:00-14:20 ポスター発表(発表者は在籍してください)
  14:20-15:50 教育講演
すぐにわかる・明日から使える精神科診断学のための因子分析
―探索的因子分析・確認的因子分析・名義尺度の因子分析― 
  16:00-17:40 シンポジウム2
周産期医療における多職種専門家の間で診断は共有できるか?
  18:00-20:00 懇親会
     
日程表:2016年8月6日 土曜日
  9:00-9:50 評議員会と総会
  10:00-12:00 シンポジウム3
周産期の精神疾患は産後うつ病だけなのか?
  13:00-14:20 会長講演
個の診断学から関係性の診断学へ
  14:30-16:10 シンポジウム4
周産期精神障害のアセスメントと心理援助効果
  16:10 閉会