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 日本環境変異原学会は今年第39回大会を迎えます。39年前、私は高校生でした。ちょうどその頃食品添加物として使われていたAF2の発がん性が疑われ、使用が禁止されました。社会に少し興味を持った高校生としては「科学が社会を動かせる」と大いに関心をもちました。大会長を務めさせて頂くに当たり、昨年逝去された名誉会員・田島彌太郎先生がAF2の変異原性を研究され、さらに、第1回、第2回の大会長をされていたことを思うと、本大会が社会の中で果たしてきた役割の大きさに、改めて身の引き締まる思いでおります。

 2010年の大会は「こども・化学物質・施策 ~グローカル化する環境変異原研究~」をテーマとしました。グローカルとは、グローバルとローカルを組み合わせた造語です。本大会では、地域から世界の環境を見渡して「環境と健康」の課題を考えるとともに、環境変異原研究の現在とこれからの課題を「グローカルな視点」で考えてみたいと思います。そのための具体的な行動として、環境変異原研究の現状を、韓国、中国、インド、カナダの各国をフィールドとする研究者から直接報告していただく国際シンポジウムを開催いたします。

 現在、化学物質の安全性評価は、有害性(ハザード)評価からリスク評価に重点が移りつつあります。そのような中で、脆弱な集団が被るリスク評価が大きな課題となっています。その典型が「こども」のリスクです。従来にはない問題が小児の健康に発生しているといわれていますが、環境からの化学物質の曝露がその原因の一つとして懸念されています。今回は、「子どもの健康と環境に関する全国調査」について特別講演を佐藤洋先生(東北大学)にお願いしております。

  また、今般の化学物質審査規制法の改正にともない、わが国でも法律に基づいた化学物質のリスク評価が施策として実施されます。このリスク評価とその進め方について会員が知識を深める機会として招聘講演を企画し、北野大先生(明治大学)と和田篤也先生(環境省化学物質審査室)にお話しいただきます。

  メカニズム研究はリスク評価の基盤としても必須であり、より多くの若い研究者が変異原研究へ結集することが必要です。今大会ではシンポジウムの企画を公募し、若手研究者から提案のあった「DNA変異からRNAへ~異常RNAとRNAサーベイランス機構~」を開催することとしました。

  つくばエキスプレスの開通以来、つくばは日々変貌し続けています。新しい風に包まれているこの街で、たくさんの皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

日本環境変異原学会第39回大会 

大会長 青木 康展 (国立環境研究所)